基調講演・特別セミナー・シンポジウムのご案内
第10回福井県作業療法学会では、基調講演として日本作業療法士協会の山本伸一協会長にご講演いただきます。また、特別セミナーでは、有限会社なるざの谷川真澄先生にご講演いただきます。シンポジウムでは、県内でご活躍される岡本 利子先生、谷元広樹先生、吉村真樹先生、小松友紀先生、吉岡恵美先生にご登壇して頂きます。コロナ禍を乗り越え、数年ぶりに現地にてご講演頂く予定となっております。参加者の皆様と積極的な議論を頂く場として是非とも積極的にご参加頂けますと幸いです。
基調講演の内容
基調講演
「作業療法 未来への提言」
講師:山本 伸一 先生
(一般社団法人 日本作業療法士協会会長)
令和6年3月16日(土)、「第10回福井県作業療法学会」が開催されます。コロナ禍という苦境が3年以上も続きましたが、会員の皆様や運営事務局等のご努力ご尽力によって盛大に開催されますことを心よりお祝い申し上げます。運営委員や会員の思いが詰まった学会でございます。きっと会場全体が皆様方の熱い議論になることでしょう。
さて、このたび2023年5月27日の日本作業療法士協会総会・臨時理事会にて第6代会長に選出いただきました。身が引き締まる思いでございます。新会長としての所信表明は、以下の4つです。
1.作業療法士の臨床力を確かなものにします。
2.社会保障を守り、職域を拡大します。
3.会員個人-職域(勤務先)-各都道府県士会-学校養成施設-当協会の集合体組織力を確固たるものにします。
4.事務局は、迅速・正確・良質のある部署横断的な機能を強化します。
目指すのは「輝いている患者さん(利用者)、輝いている作業療法士」です。それを支える「魅力のある各都道府県士会と日本作業療法士協会」です。昨今、組織率が取り沙汰されておりますが、これこそが組織率を保つ源だと思います。
これまで、診療報酬や介護報酬改定制度等による現場の変遷もありました。私たちが辿ってきた軌跡は、確実に未来を創っていると思います。また、日本作業療法士協会は、その情勢のなかで多くの団体と渉外活動を重ね、関係省庁との連携を深めることで日本のリハビリテーションの発展に寄与してきました。今後は、所属勤務先・各養成校、団体(士会・協会等)の連携をさらに強化し、力の結集が必要です。それが存在意義、臨床力の向上、職域の拡大につながります。
今回、作業療法に纏わる状況の整理と制度関連等を振り返り、組織再編等に向けた日本作業療法士協会の動向もご紹介いたします。「変わるべきこと、変わらないこと」を皆様と共有させていただき、5年後10年後を創造いたします。
2023年度、日本作業療法士協会は新たな門出でございます。第4次5か年戦略も始動いたしました。私たちの未来は、受け継がれ、私たちの手で創らなければなりません。臨床作業療法の最良の質と量の提供のために、全国の組織が手を取り合い、一体となって歩んでまいりましょう。
結びになりますが、第10回福井県作業療法学会の盛会と福井県作業療法士会の益々のご発展を祈念いたします。これからも何卒よろしくお願い申し上げます。
特別セミナーの内容
教育セミナー①
「作業療法士だからこそやるべき組織マネジメント」
〜明日からの組織づくりのために〜
講師:谷川 真澄 先生
(有限会社なるざ 代表取締役 /一般社団法人日本作業療法士協会 常任理事 )
作業療法士は、「応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図る」ために、本人にとって最適な作業を提案、その目標に向けて様々な資源を活用し段階的なアプローチをしていく。このような本来の作業療法の形(かた)をツール化したものが生活行為向上マネジメント(MTDLP)である。MTDLPは作業療法の介入方法でなく、生活行為向上の目標の達成を目指すマネジメントである。
一方、職場における組織マネジメントを見ると、その目的や目標、手法は職場によって大きく違うと言える。組織のトップがどのような号令をかけているのか、組織内にどのような人材がいるのか、組織の歴史等、様々な要素に左右される。さらにその組織下に作業療法部門があり、そのリーダーの考えや裁量にスタッフは影響される。部門の収益増だけを考えているリーダーもいれば、良質な作業療法の実践を一番に、教育に打ち込むリーダーもいるだろう。仕事量が多すぎて職場環境整備や職員教育に手が回っていないリーダーもいる。世代間ギャップで悩むリーダーも多い。そのリーダーの部門マネジメントの傘の下で一人ひとりの作業療法士スタッフが行う業務も階層的な組織マネジメントによってパフォーマンスが変わる。
組織マネジメントは、管理する側だけでなく、すべての従業員が一緒に考え、理解することが重要である。MTDLPのように自組織のマネジメントを共有言語化・見える化し、組織マネジメントの形(かた)を組織内につくることに努めてほしい。作業療法士それぞれが取り組むべき組織づくりの話をする。
シンポジウムの内容
シンポジウム
「その人らしく豊かに生きる」を支える作業療法士の視点
~「作業」と社会をつなげる作業療法の技を用いて~
シンポジスト
岡本 利子 先生(嶺南こころの病院)
谷元 広樹 先生(嶺南こころの病院)
吉村 真樹 先生(杉田玄白記念小浜病院)
小松 友紀 先生(東尋坊ひまわりの丘)
吉岡 恵美 先生(障がい相談支援センター丸岡)
「その人らしく豊かに生きる」を支えるために、作業療法士はどのような視点と技をもって、「作業」と社会をつなげているのでしょう。今回は、学会のテーマ「つどえ、確かな技。つなげ、作業療法の輪。」に基づき、様々な年代や領域に携わっている作業療法士がどのようにそれを成しているのか、また、他職種の視点からもそのセラピストの専門性がどのように役立っているか教えていただき、参加者の質問も受けながら、「その人らしく豊かに生きる」を支える作業療法士の技と視点を、どのように明日からの臨床で役立つ個々の作業療法士の行動へとつなげていくかを話し合えると嬉しいです。